はじめに
コーヒー豆の風味は栽培地や品種だけでなく、精製方法によっても大きく変わるのをご存じですか?精製方法とは、コーヒーチェリーから種(コーヒー豆)を取り出し、乾燥させる工程のことで、大きく分けて「ナチュラル」「ウォッシュト」「ハニー」の3つの方法が代表的です。今回は、それぞれの精製方法の特徴と味わいの違いについて詳しく紹介します!
それぞれの精製方法の紹介
1.ナチュラル(Natural)精製
概要
ナチュラル精製は、コーヒーチェリーをそのまま天日干しにして乾燥させる方法です。チェリーの果肉が自然に発酵して種に味や香りが移るため、コーヒー豆の持つ果実の香りが豊かに引き出されます。古くからエチオピアやブラジルで多く採用されている伝統的な精製方法です。
工程
収穫したコーヒーチェリーを洗わずに乾燥させ、数週間かけてチェリーが完全に乾燥するのを待ちます。その後、乾燥した果肉と種を分離し、種を取り出します。
味の特徴
ナチュラル精製のコーヒーはフルーティで甘みが強く、ベリーやトロピカルフルーツのような風味が感じられます。果肉と一緒に乾燥させるため、発酵由来の甘さやコクが強調され、重厚感あるコクが特徴です。酸味は控えめで、フルーティで芳醇な味わいを楽しみたい方におすすめします。
主な産地
エチオピア、ブラジル
2.ウォッシュト(Washed)精製
概要
ウォッシュト精製は、コーヒーチェリーの果肉を取り除き、種を水で洗浄してから乾燥させる方法です。果肉や果汁の影響を抑えることで、豆本来の風味が引き出されやすくなります。強めの酸味やすっきりした味わいを楽しめるため、風味を重視する高級豆によく用いられます。
工程
まず収穫したチェリーの果肉を機械で取り除き、その後、果肉の残りを水で発酵・洗浄して完全に除去します。その後に種を乾燥させてからコーヒー豆として使用します。乾燥には天日干しと機械乾燥の2種類があります。
味の特徴
ウォッシュト精製のコーヒーは、クリアな味わいが特徴です。果実の影響が少ない分、豆の産地や品種の個性が際立ち、酸味やすっきりとした後味が楽しめます。フローラルな香りやシトラス系の酸味を持つことが多く、軽やかで繊細な風味を好む方に向いているようです。
主な産地
コロンビア、グアテマラ、コスタリカ
3.ハニー(Honey)精製
概要
ハニー精製は、果肉の一部を残して乾燥させる方法で、ナチュラルとウォッシュトの中間的な精製方法です。果肉や果汁からの甘みが残りやすく、発酵度合いに応じてフレーバーが変わるため、「ブラックハニー」「イエローハニー」など、乾燥度合いや発酵の度合いでさらに細分化されます。
工程
果肉の外側だけを取り除き、パーチメントと呼ばれる内側の粘液質(ミューシレージ)を一部残したまま乾燥させます。乾燥中に発酵が進み、種に甘さや風味が移ります。
味の特徴
ハニー精製のコーヒーは、ナチュラルのフルーティさとウォッシュトのクリーンさを兼ね備えたバランスの良い味わいです。甘みがあり、キャラメルやハチミツのようなコクが感じられます。酸味は控えめで、芳醇な風味を好む方に人気があるようです!
主な産地
コスタリカ、エルサルバドル
4.その他の精製方法
スマトラ式精製(Giling Basah)
特徴
インドネシア独特の精製方法で、パーチメントをつけたまま乾燥させた後、再度脱殻して乾燥させます。
味の特徴
土っぽさとスパイシーな風味があり、味が重厚です。マンデリンなどインドネシア特有の風味を楽しめます。
アナエロビック(Anaerobic)精製
特徴
密閉タンクの中で酸素を遮断した状態で発酵させる方法。ユニークな風味や複雑なフレーバーが生まれます。
味の特徴
複雑な酸味や甘み、独特な香りが特徴で、果実やスパイスのような風味が感じられます。
まとめ
コーヒーの精製方法によって、コーヒーの風味は大きく変わります。果実の香りを楽しむナチュラル精製、すっきりとした酸味が特徴のウォッシュト精製、バランスの良い甘さを持つハニー精製など、精製方法によって味わいが異なるため、同じ産地の同じ品種でも異なる表情が楽しめます。ぜひ色々な精製方法のコーヒーを試し、自分好みの一杯を見つけてみてくださいね。